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 麻美は自分で戦った。そして勝ち取った。 まだ未成年であるから、全てを勝ち得た訳ではないが、それでも自分の行動を阻む最大の敵と向き合い、正々堂々と自分の主張をし、そしてここへ来た。  あの頃の麻美とは、また違う。  内に芯が創られ、全てが躍動している。自分の夢に向かって歩み出した人間というのは、こうも輝いて見えるのか。唐揚げをおいしそうに頬張る麻美をまじまじと見ながら、平次は思った。  何はともあれ、こうしてまた2人で食卓を囲むことができた。本当にありがたい。それ以上に何もいらないじゃないか。俺たちには。 「平次さん、どうしたの?」  自分から視線を動かさない平次を訝し気に見ながら、麻美は平次に言った。 「いや…、幸せってこういうことを言うんだろうな」  はっとした平次は咄嗟に応えた。 「おかえり、麻美」 「ただいま戻りました」  2人はグラスを抱えて乾杯した。  雨の滴る静かな夜に、2人は小さな幸せを噛みしめながら、これからの未来を見ていた。
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