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体育館へ向かって渡り廊下を歩きながら、さっき龍之介が立っていた場所を横目に見た。
もういるわけないのに、気になる。
さっき、二人で何を話していたのか。
私の気にすることでは無いはずなのに、気になる。
私には龍之介が誰と仲良くしてようが関係ない。
体育館の入り口で、妙にざわざわする心を鎮めるようにゆっくり深呼吸した。
関係ない。
関係ない。
関係ない。
よし、行くぞ。
「何をそんなにスーハーしてんの?」
「うわあ!」
頭の上から声を掛けられて、ビクッとして振り返って、やたら至近距離に立っている龍之介にさらに驚いて入口横に倒れそうになった。
「はは。柚。ビビりすぎ」
「近い! びっくりした」
むぎゅーと腕を押して、龍之介と距離をとると、体育館に入った。
ああ、心臓に悪い。
少しずつ図書委員と参加者が集まってくる。
龍之介と並んで壁に寄りかかりながら、委員長が指示を出すのを待った。
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