1105人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっと待つと、二年の一番手の龍之介の番になった。
「柚、全部読む?」
「うんん、好きにしていい。椅子から、立って、壇上で初めの数行でいいよ。声の感じのチェックだけでいい」
龍之介がステージの椅子に座る。
係の席からオッケーサインを出すと、龍之介が中央のスピーチ台へ移動して、スピーチを始めた。
龍之介の声は通る。
本番は人がいるから、もうちょっと出してもいい。
数行読んで、龍之介が止まった。
「ここらへんで、いい?」
「いいよ。もうちょっと声出しても多分いい。人がいるとざわつくから」
「りょーかい」
そういうと、ぽんっと軽々、ステージを飛び降りて戻ってきた。
「ありがと。明日、よろしくね」
私がリハに参加してくれたことを龍之介に感謝すると、ははっと笑った。
「俺に付き合ってくれてるのに、逆だわ」
「そういえば、そうだった」
最初のコメントを投稿しよう!