前夜祭

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ちょっと待つと、二年の一番手の龍之介の番になった。 「柚、全部読む?」 「うんん、好きにしていい。椅子から、立って、壇上で初めの数行でいいよ。声の感じのチェックだけでいい」 龍之介がステージの椅子に座る。 係の席からオッケーサインを出すと、龍之介が中央のスピーチ台へ移動して、スピーチを始めた。 龍之介の声は通る。 本番は人がいるから、もうちょっと出してもいい。 数行読んで、龍之介が止まった。 「ここらへんで、いい?」 「いいよ。もうちょっと声出しても多分いい。人がいるとざわつくから」 「りょーかい」 そういうと、ぽんっと軽々、ステージを飛び降りて戻ってきた。 「ありがと。明日、よろしくね」 私がリハに参加してくれたことを龍之介に感謝すると、ははっと笑った。 「俺に付き合ってくれてるのに、逆だわ」 「そういえば、そうだった」
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