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リハが終わった順に解散していいことになっている。
「お疲れ様でした」
委員長と残っている三年生に頭を下げて、体育館を離れた。
「柚、また音楽室?」
「うん」
「あ、そ。んじゃね」
朝、龍之介が女の子と立っていた、体育館の脇は、部室への近道だ。
部室へ向かって行くように、その場所に向かって渡り廊下を離れようとした龍之介の背中に、どうしようもなく苦しくなった。
「龍」
「ん?」
振り返った龍之介になんて言っていいのかわからない。
引き留めたの、私なのに。
「なんでもない」
「柚、どうした?さっきから」
龍之介が、少し戻って、私の前に立った。
他の人が好きなのに、龍がほかの子と一緒だったら、気になる。
そんな最低なことを考えている。
最低。
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