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音楽室を出る前、携帯を確認した。
『おはよ』
龍之介の返信は、それだけだった。
大丈夫かな。
文化祭の開会式とスピーチコンテストは、全校生徒が必須参加する。
早めに体育館へ着くと、係員席であわただしく評価表を数えたり、タイマーの位置を決めている図書委員長の高須さんに挨拶した。
開会式が終わり次第、続けてスピーチコンテストが始まるから、私も、その時の立ち位置を軽く再確認した。
次第に体育館が生徒で埋まっていっている。
私も、2-Bの座席の位置に向かいながら、C組の子をざっと見た。
あんまり他のクラスの事は知らないけど、見慣れない顔がいたら、その子が龍之介の友達の拓君なのかもしれないと思った。
んー、誰だか分かんない。
ちゃんと来てるかな。
今日のスピーチは龍之介の本人の事だけど、拓君にも聞いてほしい。
あの時、プール際で、龍之介が「そしたら、二人殺したことになるじゃんね」と言った声が忘れらない。
あんまりきょろきょろしても悪いかなと思って、席につこうとしたら、体育館の脇から名前を呼ばれた。
「柚。ちょっと」
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