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龍之介が、体育館の脇のドアの前から私を呼んでいる。
あ、龍、来てた。
よかった。
「おはよ。大丈夫?」
龍之介の方に行くと、体育館の外へと指さして合図するので、ドアから体育館の外に出た。
「ん、柚。おはよ」
緊張しているから呼ばれたのかと思ったら、体育館の外へ出ると、にっと笑ったから、緊張しているわけでもないらしい。
「開会式、終わったら、そのままステージ袖で待機ね」
「ああ、それは、分かってる……拓、来てるから」
開いたドアへちょっと頭をだして、C組の方を見る。
私にはどこの子か分からないけど、拓君が来たのならいい。
「よかったね」
「ん。俺の話聞いても、なんとも思わないかもだけど、こんな機会でもないと、こんな事、話すつもりないし。来てくれて、よかった」
真面目にそう言われて、ドキッとした。
「うん」
ふざけたことしか言えないやつだと思っていたのに、なんか、ちょっと成長している。
そう思って隣の龍之介を見上げたら、私を見ていた龍と目が合った。
「なぁ、柚。昨日の事、ちょっと考えた?」
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