文化祭

9/32
前へ
/177ページ
次へ
まだ集合時間じゃない音楽室には、すでに何人もの部員が集まって来ていた。 私もバイオリンケースを棚から引っ張り出して、自分のいつもの位置に座った。 バイオリンをケースから出していると、音楽準備室から、安藤先輩と細川先輩が出てきたのが見えて、顔を上げた。 あ、二人でいたんだ。 なんでもない会話をしていた様子でおしゃべりしながら出てきた二人に、少し心がざわついた。 あ、きっと、二人には何かある。 やっぱり、文化祭が終わったって、私が告白するとかいう状態ではない。 ……二人の間になにかあるかもだから、告白できそうもない? ……少し、ざわつく? バイオリンを左手に持ったまま、私は、その場で目を瞑った。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1105人が本棚に入れています
本棚に追加