文化祭

18/32
前へ
/177ページ
次へ
オケ部の発表が終わると、次の団体が体育館を使うので、楽器と譜面台をさっと片付けないといけない。 客席とおしゃべりする間はない。 母に軽く手を振って、バイバイすると、母も手を振って、携帯を見せた。 メッセージするってことかなぁと、頷くと母は帰って行った。 入口付近を見るとそこにはもう龍之介の姿はなかった。 音楽室まで、みんなで全部の楽器、譜面台を片付けて、一旦それぞれ、椅子に座った。 安藤先輩が部員の前に出る。 「はい。みんな、お疲れ様でした! 無事、文化祭発表、終わって良かったです。ほんと、楽しかった! 今まで準備、練習してきた成果が見せれたと思います。…… これで三年生、引退になります。今後もオケ部、一、二年生で盛り上げていってください。ありがとうございました!」 安藤先輩が礼をすると、大きな拍手がおきた。 私も精一杯の拍手を安藤先輩と、三年生に送った。 次期部長に決まっているパーカッションの石田くんが用意していた小さな花束とプレゼントを安藤先輩に渡して、各三年生に順番に渡していった。 「今まで本当にありがとうございました。これからも、受験や進路で忙しくなっても、時間があるときに、指導や、セッションに顔だしてくれると嬉しいです。ありがとうございました!」 石田くんが後輩を代表して挨拶して、鈴木先生が立ち上がった。 「はい。三年生、本当にご苦労様でした。三年間の成果、充分出して、演奏できたと思います。これからもね、勉強に疲れたら、遊びに来てもいいし。1,2年生もね、今日は緊張したと思うけど、お疲れ様です。また、夏休みから、部活になりますから、後は文化祭楽しんで、それまでちょっと休憩してください。じゃ、皆さん、お疲れ様!」 パチパチと拍手でみんなが先生の挨拶に返事をする。 「はい、じゃ、解散で! 楽器、荷物、置いておきたい人は置いてって良いです。貴重品だけ、気をつけてください。」 安藤先輩がそう付け足すと、「あ、午後五時で閉めるからね!」と鈴木先生がさらに付け足した。 先輩との部活が終わった。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1105人が本棚に入れています
本棚に追加