文化祭

23/32
前へ
/177ページ
次へ
先輩への気持ちに、けじめは付けた。 音楽室を出て、校庭に向かう。 もうひとり、話をしないといけない。 途中、職員室の前を通ると、丁度、新井くんがお茶のトレーを来賓室から片付けている所だった。 「あ、お仕事中?」 「んー、これ二時間のシフトだけだと思ってたら、明日、部活投票のカウントもやれって。こき使われてる」 本人は嫌がっているけど、ちゃんとやるから使われるんだろう。もうちょっと前に出るタイプなら、生徒会長にでもなってしまいそうだ。 「忙しいね。あのさぁ、龍之介、見かけた?」 クラスルームから校庭に行くには、みんな大体ここを通る。 「あー、ちょっと前に、サッカー部のマネに引っ張られてった」 やっぱり部活か。 マネージャーさん、ね。 「あ、そっか。ありがと」 バイバイして、校庭へ向かった。 校庭脇の渡り廊下から午後の日が眩しい校庭を覗いて見ても、龍之介は見当たらない。 暑い中で、他の部員がペナルティーシュートのパネルの前で、小中学生の相手をしている。 もう少し校庭に近づいて、見回すと、ちょっと離れた倉庫の横の日陰にマネージャーさんと龍之介を見つけた。 「ペナルティーシュートゲーム」と書いた札を脇に持っている。 客寄せをサボっているらしい。 龍之介が何か言って、笑ったマネージャーさんにバシっと肩を叩かれている。 んー。 コレ。 この問題があった。 派手な感じで、かわいく目立つマネージャーさんだ。 龍之介、ヘラヘラしてる。 なんか、馬鹿らしい。 喉の奥が痛い。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1106人が本棚に入れています
本棚に追加