文化祭

25/32
前へ
/177ページ
次へ
「ん、良いわ。上がって。明日、また1時間位はシフトで顔出せよ」 「了解です」 軽く頭を下げた。 「ん。柚ちゃん、またね」 そう言うと、美馬さんは、校庭の部員の方へ歩いていった。 「柚、美馬さん、知ってんの?」 美馬さんの後ろ姿に視線を向ける。 「ちょっとだけ。部長の友達みたいで、こないだお話したの。今、帰ろうとしたらぶつかりそうになっただけ」 「え? 帰る? 俺、探してたんじゃないの? 俺、分かんなかった? あっちに居たけど」 そう言って、さっきの座ってた倉庫の方を指差す。 「うん。見えたけど、おしゃべり中だったから、後でいいやと思って」 後で良いや、なのか、もう良いや、なのか分からない。 「あ? あ、そう」 少し首を傾げて、私の顔を覗き見た。 むっとしている私の顔を見て、いきなり、ふふっと笑った。 「柚、案外、嫉妬深いよな」 はあ? 「ばーか! もういい!」 龍之介が今日中にハッキリさせろとか言って、しなくても良いような過去形の告白までして、けじめつけて来たのに、デレデレかわいいマネージャーといちゃついてたくせに!! ムッカつく!
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1105人が本棚に入れています
本棚に追加