文化祭

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怒ってる? あれ?  困ってる? 「先輩は、今でもかっこいいと思うけど、もう恋とかそういうのじゃないかも、と気がついた、という感じ」 アイドル的な。 惰性的な。 「片想いに丁度良かったからかな、と、気がついたって、いうか」 なんとなく、人として酷い事を言っているようで、視線が次第に下がる。 この時期、体育館の日陰でも暑い。 変な緊張で、さらに暑い。 「ふーん。じゃ、とにかく、あいつはもう良いわけね?」 うん、と頷くと、こっちに腕を伸ばしてクシャっと軽く俯いた私の髪を触った。 「なら、朝、俺が言った事、考えてよ」 顔を上げた私を見てそう言うと、腕を軽く組んで、私の返事を待っている。 「……あれは、良かった」 「良かった? それだけ? 俺が1年になんか言われてたら泣いちゃって、さっきもちょっとマネと話してたら、怒るくせに?」 意外と論理的。 嫌だわ、コイツ。 睨んでやる。 「柚、それはもう、ちょっとは好きだろ? 俺の事?」 龍が少し首をかしげて、覗き見るように私の目を見ていた。
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