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後夜祭
文化祭二日目は、クラスで朝、出席だけ取られる。
クラスルームに集まってくるクラスメートの中で、私はかなりドキドキしていた。
馬鹿みたいに浮かれていたけど、こういう時、どうしたらいいのか。
龍之介は昨日までふざけているクラスメートだったのに、今日は一応、彼氏だ。
「おはよ」
いつも通りに、鞄を投げ出すように机の上に置く。
あんまりに自然に挨拶されて、ほっとした。
なんだ、大丈夫だった。
「おはよう」
「柚。俺、朝一のシフトにしてもらったから。それ終わったら、自由だし」
「あ、ああ。うん。分かった」
甘夏ちゃんが、目を丸くして、こっちを見ている。
「甘夏ちゃん、今日、テニス喫茶、行くよ。いつ、働いてる?」
「えっと……。多分、ほぼずっといるけど、朝、柚、一緒に別のとこ、ちょっと見に行こ。ね?」
目力強めに、言われた。
有無を言わせない、という感じだ。
「あ、うん。そうしよ」
金子先生が来て、出欠をとった。
「じゃ、二日目も楽しんで。閉会式なるべく、参加するように。その後、後夜祭あるけど、自由参加だから、参加するやつは、遅くなるから、くれぐれも気を付けて帰りなさいよ」
閉会式まで、私は自由だ。
龍之介が「連絡する」と言って、サッカー部へ出かけて、甘夏ちゃんと取り残された。
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