後夜祭

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「柚。どうなってんの?」 龍之介がでかけて、甘夏ちゃんはこっちに身体を向けて、こっそり聞いてくる。 「どこか、行こうか?」 教室には、クラスメートが沢山騒いでいる。 「ん。いいよ、ちゃんと話してくれるなら」 「はい、はい」 廊下は部活の持ち場へ移動する生徒であふれている。 購買の自販機の前のベンチまで行くと、その端に腰かけた。 まだ朝一番に購買に来る人もいない。 「で?どうなってんの?」 座ったとたんに、甘夏ちゃんに聞かれた。 「ああ。あー。龍と付き合うことにした」 誤魔化してもしょうがないだろう。 「え!? ええー? 部長は?」 予想はしていただろうけど、びっくりしている。 そして、まっとうな質問が来た。 甘夏ちゃんと、オケ部のみーたんは、私が部長の事が好きだったと知っている。 「んー、昨日、部長にも、ちゃんと話してきた。好きだと思ってたけど、最近は違ったのかもなぁと思う。それか、好きの種類が違ったのかも」 こればっかりは、本当にどう説明していいのか、わからない。 「すごい進展。龍之介、報われたね」 「え? 報われた?」 眉をよせる。 なんか、あいつが頑張っていたような、私が気づかない駄目な人のような、言い方……。
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