後夜祭

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「龍は、これまで好きだと思ってた人とは違う種類の好きな気がするけど、もしかしたら絆されただけなのかとも思うし、文化祭の熱気にやられてんじゃないかとか……」 「ははは。柚ちゃん、凄い自己分析。慎重だな」 慎重。 だって、傷つきたくないし、迷惑もかけたくない。 私には、片想いの方が向いていたのかもしれない。 「うん」 机に突っ伏した。 新井くんが少し考えている。 「柚ちゃん、もし今、俺が柚ちゃんのこと好きだって言ったら、絆される?」 え? 突っ伏したまま、新井くんを見た。 例えば、の話。 「新井くんは、人として好きだけど、多分絆されない」 「今から、廊下に出てって、みんなの前で叫んだりしても?」 びっくりして身体を起こした。 「困る!」 新井くんは優しく笑ってた。 「ははは。俺が文化祭の野外ステージとかで告白したら、しょうがないなあって、好きにならない?」 「……それも困る」 「龍之介なら絆されたのに?」
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