後夜祭

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「注文なんにしますかぁ? 冷たいもの中心だけど。アイスカフェラテとか、あるよ。柚、好き?」 「うん。それにする。龍は?」 「俺も一緒でいい」 「はーい。アイスラテ2つ、はいりまーす!」 始め、嫌がっていた割に、本気でウェイトレスやっている。バイトのお姉さんみたいな声で、注文を入れていた。 そんなスコートの後ろ姿を男性客はもちろん、私までなんとなく目で追ってしまう。 「可愛いね」 私がそう言うと龍之介が笑った。 「確かにテニスウェアは、良い」 自分で言わせておいて、龍は可愛いと思っているんだな、と少しひっかかる。 ああ、もう。 嫉妬深いとかって笑われる。 笑われる前に、なにか別の事を話そうと思ったら、龍之介が先に口を開いた。 「柚。さっき、新井と何話してた?」 「え? 色々」 あれ?  龍之介、ひっかかってる。 さっきは図書館で別に普通だったのに。 「ふーん」 私が色々って新井君との会話を教えなかったら、龍之介が少し面白くなさそうな返事と共にテーブルに頬杖をついた。 なーんだ。 龍は、スコート姿、じっと見たくせに。 お互い様だ。
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