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生物の移動教室から戻ったら、龍之介が学校に来ていた。
「今来たとこ?」
「んー、遅刻。寝坊した」
大あくびしながら、そういうから、まだ眠いらしい。
そりゃ、私も眠いけど。
「古典、宿題、漢文、白文で読めるように暗記だって」
「あ? 無理だわ、それは」
そうですか。
宿題を教えてあげても意味がない。
前を向いて、次の授業の準備をしようと教科書を探す。
「なぁ、柚、ノート、見せてよ? 写メして」
やる気はないのに、ノートは見るのか。
一応、取ってるけど。
しかも写メって。
写真撮る位、自分でやれよ。
「なんで簡単に私のノート見せてもらえると思うかなぁ」
「はいはい。柚様、お願いします。QRコード、ほれ」
携帯を突き出してくるから、仕方なく、QRコードを読み取って、登録した。
なんだ、龍之介、携帯に入ってなかった。
学校じゃ前から結構話すほうだけど、そうか。
授業開始のチャイムが鳴って、慌てて携帯をしまう。
「あとで、生物と古典の、送る」
「んー、サンキュ。柚、大好きだわ」
本当に調子がいい。
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