後夜祭

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キャア、とか、うわっと他のお客さんの声に混じって、さっきの動画の悲鳴が聞こえる。 おどろおどろしいこと、この上ない。 龍之介のシャツを掴んだまま、おずおずと進んでいく。 スーッと足元に冷たい風が吹く。 「今、風、冷たかったね」 「うん。凝ってんな、今年」 扇風機なのか、誰かがうちわで煽っているのか、とにかく張り切り過ぎてる。 角を曲がって、Uターンしたから、次の教室へ入ったのだろうか? 真っ暗過ぎて、方向感覚がおかしくなる。 と思った瞬間、足元にヒヤッとしたものが触った。 「ひぇえ!!」 「柚!?」 怖いって。 「うっ、ううう。変なの触った」 心臓がバクバクしている。 子供だましの高校生のお化け屋敷になんでこんなにビビっているのか。 「ちょ、ちょっと待って」 足を止めた龍之介の背中に隠れて、深呼吸する。 大丈夫。 暗いだけ。 大丈夫。 「あの、柚? 背中で、スーハーすんの、ちょっと……」 「え? ごめん。暑苦しかった?」 怖すぎて、くっつき過ぎた。 シャツにリップはつけてないと思うけど。 「いや、なんか、ちょっと……」
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