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係の人の「止まっちゃだめです」という注意を思い出して、歩き出す。
「龍、怖くない?」
「こえー。けど、それどころじゃない」
それどころじゃないって何なんだ。怖いよ。
角を曲がったら、落ち武者の首みたいなのがあった!
「うっわ」
「ひえぇえ! もう無理!」
お化け屋敷で目をつぶるというのは反則だろうか?
おもちゃだって分かってんのに、怖すぎてもう見れない。
龍之介のシャツを握る手が汗をかいてきた。
ちょっと前で大きな悲鳴が上がる。
それも心臓に良くない。
その先くらいに出口があるらしくって、人の話し声がする。
もうちょっと。
龍之介の後について進んで行くと、いきなり私の真横に甲冑の武者が立っていた。
「いやああああ!」
びっくりして、怖すぎて転けそうになった。
龍之介のシャツを引っ張って、龍之介の近くに逃げる。
「こ、こわ! 怖いよ」
「ビビった!」
ずっと隠れてて、人が通るタイミングでライトをつけただけなのは頭では分かるけど、びっくりしすぎて、心臓は飛び跳ねた。
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