後夜祭

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「ちょっとコレ持ってて」 ジュースを龍之介に渡すと、制服のリボンを取った。 「柚?」 ボタンを一つ、二つと外す。 「見ないと、分かんないでしょ?」 あっけらかんと言ってみたものの、指先が震えそうになる。 どう思われるか、分からない。 駄目ならだめって今のうちに言って。 もっと好きになる前に。 ボタンを三つ外して、少しシャツをはだければ、充分に痕は見える。 「こんな感じ。胸のここのちょい上まで」 乳首の上って言いたいんだけども。 ちょっと言いづらいから、ブラの上から位置を指した。 龍之介の視線が落ちる。 怖くなって、息を止めた。 「柚」 手に持ったジュースを一番近くのテーブルに置きながら、困ったように名前を呼んだ。 一歩近づいた龍之介の指先がはだけたシャツをそっと掴んで、ボタンをゆっくり留めた。 見てられない? 駄目だった? 何か言って。
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