後夜祭

22/28
前へ
/177ページ
次へ
 閉会式は、夕方、野外ステージで行われ、部活の出し物の人気投票の結果がアナウンスされる。 きちっとした開会式とは違って、校庭に部活ごと適当に集まって、結果を聞く。 校庭まで龍之介と一緒に来たけれど、校庭で別れて、オケ部の集団を見つけて、そこに混じった。 少しすると、みーたんもやって来た。 少し他の部員と距離を取ると、みーたんが小声で昨日からほったらかしだった質問を持ち出した。 「柚。どうなってんの? あの後、先輩と話したの?」 「うん。ちゃんとお礼を言って、けじめをつけた」 「え? けじめ? えー、あれ?告ったんじゃないの?」 周りを気にして、さらに声を絞る。 「うん。過去形だったけど、言ったよ、一応。でも、あの、もっと別に好きな人がいるって気がついたから。それで、けじめ」 私まで小声になって返事をすると割と大きい「ええ!?」が返って来た。 「誰?」 みーたんが目を丸くしている。 クラスの違うみーたんは、甘夏ちゃんと違って、私が龍之介と絡んでいるのをよく知らない。 誰なのか予想もつかないらしい。 「うちのクラスの龍之介」 「ええええ!?え?え?えええー?あっ、ああ?あれって柚の事?」 『え』の繰り返しの中でみーたんは昨日の龍之介のスピーチのアドリブ部分まで反芻していたらしい。 スゴイ。 うん、と頷くとみーたんが思いっきりニヤけた。 「うっわぁ。文化祭!」 まあね。 恥ずかしい。 「ありがちで、ゴメンね」 「いいよ、ありがち、バンザイ! もう付き合ってるの?」 うん、と頷くと、みーたんが何故か、大袈裟に照れた。 「イヤだ、高校生活、盛り上がってるー♡」
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1105人が本棚に入れています
本棚に追加