後夜祭

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そのうちにぞろぞろと部員が集まって、生徒会長が閉会式をスタートさせる。 オケ部のメンバーの間に、安藤先輩がちらっと見えて、お辞儀すると、先輩もにっこり笑って、軽く手を振ってくれた。 閉会の挨拶に続いて、すぐにスピーチコンテストの優秀賞が発表された。 最優秀賞は三年生の人だった。 ステージに上げられて、副賞の図書カードを受け取っている。 「嬉しいです! まんが、買いまーす!」 拍手と多少の笑いを取っている。 私は、龍之介の事で頭がいっぱいでどんなスピーチだったか覚えてない。あの場所にいたのに、私は全く聞いてなかったらしい。 「準優秀賞、2年B組、上谷龍之介」 拍手がおきて、サッカー部の方から龍之介がステージに上がった。 「わ、柚ちゃん。彼氏じゃん!」 副賞の図書カードを貰って、マイクを向けられている。 「ありがとうございます。あ、一つ訂正があります。しょうもない片想いしてるって言いましたけど、ゴリ押しで彼女になって貰いました。高校生活、捨てたもんじゃないです。どーも」 どっと歓声が上がった。 うっわ。 恥ずかしい。 「うわー! 柚ちゃん!!」 隣のみーたんが興奮している。 なんか焦って、目が泳ぐ。 安藤先輩が振り返って、目があった。 先輩は、こっちにパチパチと拍手のジェスチャーして笑っていた。 あああ。もう。 すみません、お騒がせして。 ペコっと頭を下げた。 なんか、気恥ずかしいったら。
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