後夜祭

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結局、部活の出し物の人気投票は、剣道部、空手部合同のお化け屋敷が合同の一位で、2位を飛ばして、甘夏ちゃんのテニス部は3位だった。 各部の代表が副賞の特別部費を受け取って、お礼を言って、校長先生が短い挨拶をした。 校長先生はこういう時の挨拶が短くって、偉い。 生徒会長が締めの挨拶を引き継いで、閉会式を終えた。 そして、そのままステージで音楽がなって、後夜祭が始まった。 後夜祭になると帰る人、友だちと見学する人、バラバラで部活毎の輪が崩れていく。 「みーたん、残ってく?」 「うん。零次と花火、見る約束してる」 「そっか。私、どうしよっかなぁ」 人混みで、サッカー部の方が、見えない。 龍之介が残るなら一緒に花火をみたい気がする。 安藤先輩が何か細川先輩に話しかけている。軽音部の演奏が始まって、何を言っているのか分からないけれど、にこっと細川先輩が笑った。 なんか、ホッとした。 良かった。 私、間違えなかった。 軽音部の演奏をバックに生徒会長が校庭の中心に設置された大きな焚き火に、火を付けた。 「柚!」 呼ばれた方を見たら、龍之介がこっちに向かって来ていた。 「龍之介、後夜祭、一緒に見ていける?」 一緒にいられるなら、花火を見たいなと思って、そばに立った龍之介を見上げて訊いた。 「ん。そのつもり。遅くなるから、俺、送るし」 そう言って優しく笑った。 校庭の中心の大きな焚き火が次第に高く、日が落ちたばかりの空に火の粉を撒く。 花火までちょっと時間がある。 校舎脇の通路に腰掛けておしゃべりしている人や、校庭の木の下に陣取っている人も多い。
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