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「もしもし?」
「柚、何、今の?」
え?
「龍之介が別にっていうから。あっそう、ですか、だよ」
「そっけなくって、悲しくなるわ」
どっちが?
本当に適当な応答しかしない男だ。
「龍だって、そうだった」
龍之介と言う名前が長くって、時々、龍に省略される。
仲のいいクラスの子もそうだから、どっちで呼ばれても、龍之介は気にしてない。
「そう? まぁ、いいわ。現国の課題、どれくらい書けばいいんだっけ? 俺、この課題落としたら、やばいわ」
「手書きなら2枚以上、3枚以内。800-1200字だよ。三枚配られたじゃん。」
「あっ、そうか。ありがと」
「龍之介、何、書くか決めた?」
「んー、考え中。柚は?」
「まだ決めてない。多分、適当。テーマが壮大すぎる」
「柚、壮大なの、得意そうじゃね? 世界平和とか」
お利口さんだと思われているらしい。
まぁ、スピーチコンテストにはそう言うので丁度いいかも。
「はは。世界平和。そう。そういうのにする」
その後、少し、くだらないおしゃべりをして、電話を切った。
宿題を覚えていただけで、龍之介にしては、すごい。
携帯、ちょっと温かい。
思ったよりも喋ってた。
耳元で聞く、龍の笑い声、なんか不思議だった。
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