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図書館のカウンター当番に軽くお辞儀をして、奥のテーブルに腰掛ける。
隣に龍之介が座って、クシャっと原稿用紙を取り出した。
先生が入れたらしいコメントが赤ペンで各所に入っている。
「どーすんの、コレ?」
「直すの」
「いや、ここまで修正するんなら、別の奴でいい気がするけど」
違うんだよ。
修正する価値があると思われてる。
先生だって忙しいから、他の生徒にはここまでペンを入れないだけだ。
「見せて」
原稿用紙を手元に奪うと、ざっと目を通した。
赤く見えても、よく見たら、単なる漢字間違いと、点、丸の修正と、構成のちょっとしたアドバイス位がちょこっとだ。
「全然良いよ。直しも殆どない」
私は去年も図書委員で、新井くんのも見たけれど、似たような直し具合だった。
もしかしたら新井くんの方が先生ともっと構成自体を直していた気がする。
「ここ、私も統計入れた方がいいと思うけど」
「あ、そう?どうやって?」
「自殺者統計よ」
携帯で検索をかける。
「一応さ、スピーチコンテストだから。選考通って欲しいし、言いたい事を世間一般に上手く伝わる様に、それらしく形をね、整えるわけ」
説明しながら、なんとなく使えそうな統計のページを見ていく。
私と直せって、こういう小手先の事は、龍之介より私の方が上手いと思われているんだろう。
金子先生も、私の事を小賢しい生徒だと思っていると思う。
「ほら、コレとか、ここに一行で良いから」
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