龍の傷

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***  月曜日の放課後、文化祭準備ミーティングがあった。 実行委員会や、委員会で役目のある人がそれぞれ、ミーティングに参加する。 特にミーティングのない人は、部活で文化祭準備をする。 図書委員長の三年の高須さんがスピーチコンテストの準備説明をする。 「すでに、各クラスの候補者は決まっていると思います。来週、期末テスト後に選考会があります。学年ごと、1年、水曜日、2年、木曜日、3年、金曜です。各候補者は、原稿を持って、視聴覚室に集まるようにしてください」 龍之介は、木曜日か。 選考会で、小論文の内容は良くても、話せない候補者は落とされる。 ここまで出るだけで、現国の成績は確保されるらしいけど、できるなら、龍之介には、本選に出て欲しい。 「例年通り、各学年、三名選出になります。選ばれた候補者は、文化祭当日まで、金子先生のご指導の下、練習することになりますから、担当の図書委員も当日までサポートすることになります。それ以外の委員は、図書当番の割り振り、またプログラムの作成など、協力してもらいますので、よろしくお願いします」 スピーチコンテストは、普段、大勢の前で演説することに慣れてない子が出ることもある。なぜか、マイク不使用というこの大会の伝統で、緊張で、声が通らなかったりする。そのため、事前に、とにかく大きな声で話す練習と、ステージの雰囲気に慣れてもらうのと、間の置き方とかまで、練習させられる。 龍之介に、あのスピーチをして欲しい。 でも、あいつの事だから、途中で、飽きて、逃げられそうだ。 大丈夫だろうか。
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