片想いの複数形

柚の傷

シーズン初めの水泳は、みんなキャッキャしている。
体育じゃなければ、私はスイミングなんか行かないから、毎回プール開きは久しぶりでドキドキする。

冷たいシャワーをあびて、まだ冷たい水に入った。
水泳部の子たちは、５月からこのプールに入っているから、すごい。

プールをはさんで向こう側で体育をする男子の視線が痛い（気がする。）
女子のランク付けとかするんだろうな。

プールをはさむ距離だと、私は火傷跡がどうこうというよりも、背が低いし、スタイルもよくないのが残念なんだと思う。

もう少しきゅっとしてて、胸が大きくって、背が高かったらよかった、というのは、毎年、特に水泳の季節に思う。

あーぁ、そういう事、気にしたら、負けだ。
気にしない。

水に入ってしまえば、見えない。

胸の痣も、見せるような関係にならなければ、いい。
笑うような人には見せなければいい。

それでいい。
それで、大丈夫。

ふうっと息を吐いて深呼吸する。

私は、強いから、大丈夫。

大丈夫。