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その週の現国の後、廊下で金子先生に呼び止められた。
「どう?選考会、あいつ、ちゃんと出そう?」
「あ、多分、はい」
「ならいいけど。よろしくね」
まだ清書した原稿を見ていない。
教室に戻って、席に着くと、机に突っ伏して寝ている龍之介に話しかける。
「龍之介」
「んんー、なに?」
顔を上げると、本気で寝ていたらしく、ほっぺたに教科書の跡が付いている。
「スピーチの原稿、できた?」
「ん。できてる、まぁ」
眠そうに、くしゃくしゃっと髪を直している
「選考会、来週、木曜日の放課後だから、読む練習してる?」
「してない」
だろうな。
そうだろうよ。
「マイクなしだから、練習しとかないと、通らないから、練習しよ」
「まじで?」
すっごくめんどくさそうだ。
じゃあ、出なくていい、とか言われそうだ。
選考会は視聴覚室で読むだけでいいのだけど、本番は体育館だから、その時はプールサイドで端から端まで聞こえるように練習したりする。
そういうの、嫌がりそうだな。
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