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もしかして、これは、すごく機嫌が悪い、かも。
しかも、なんか言いがかり。
「なにが?」
「あいつ」
龍が、廊下の方をちらっと見た。
え。先輩?
好きなのバレてる?
「三年の方だろ?」
言い当てられて、ブワーッといきなり空気が暑くなった気がした。
私が龍之介を待たせて、先輩とヘラヘラしてたせいで機嫌が悪いようだけど、うんと言ったら、龍にからかわれる気がする。
でも否定するのも、嘘つくようで、違う気がする。
「あ。ああ、部長さん」
YesでもNoでもない、いい加減な返事をした。
駄目だ、顔が赤いと思う。
恥ずかしい。
笑われる、と思ったら、龍之介は笑わなかった。
「あっそ」
……よ、良かった。
「私、後ろの席行くから、読んで」
さっさと話題を変えようと、指示を出しながら、教室の裏に移動する。
審査員の先生がいつも座るくらいの位置に座った。
「龍之介、壇上あがって、読んで。ここらへんに審査員の先生座るから、私、ここで聞くから」
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