チェロとプール

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自分の結果を貰って返ってきた龍之介に「タコ」と言われて、自分がタコ口になっているのに気がついた。 あー、悔しい〜。 ホームルーム終わりに、新井くんに話しかけた。 「負けた!」 「ははは。クリームパンより、アイスカフェオレが良い」 「ハァイ。いいよ。似たようなもんだから。学年何番?」 「2番」 うっそ。完全に負けてる。 凹む。 「柚ちゃん、俺、帰宅部だから」 「はいはい。慰めてくれなくて、いいです。カフェオレ、昼休みに貢ぎます」 席に戻ると、甘夏ちゃんに笑われた。 「新井くんに負けた?」 「負けた。悔しい」 「2番なら、いいじゃん。本当、負けず嫌いだねぇ。この人見て、元気出しな」 そういう視線の先に、夏休みが補習で潰れることが確定して机に突っ伏している人、一人。 「現国はパスだし、良かったね」 「バカにすんな」 食い気味の返答。 おぉ、機嫌悪い。 ほっとこう。
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