チェロとプール

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昼休みに約束のカフェオレを買いに行く。 購買の帰りに安藤先輩がクラスの人と歩いているのに出くわした。 気がついたので、軽くお辞儀すると、止まってくれた。 「柚ちゃん、大丈夫? ご飯食べれてる?」 「あ、はい。大丈夫です」 「ならいいけど。購買?」 私が抱えてるカフェオレ2つをちらっと見た。 「はい。賭けで負けておごりです」 はははと笑ったら、ちょっとびっくりされた。 「え、何、賭けたの?」 「期末テストで」 クラスの一位を賭けたなんていうと、自慢に聞こえるかもだから、笑って誤魔化した。 「賭けとか、するんだ、柚ちゃん。ちょっと意外」 そう言って笑った。 大人しい性格って思われているのかもしれない。 そうでもないけど。 「柚ちゃん、負けたの? 二人に?」 隣で聞いてた美馬さんが会話に入って、いきなり柚ちゃんと呼ぶらか、びっくりした。 安藤先輩がそう呼ぶから、だけど。 安藤先輩の友達だって知ってるけど、確かサッカー部の人だ。 結構人気のある先輩だ。 「あ、はい。負けて、一つカフェオレおごりです。もう一個は私の」 カフェオレをちょっと見せると、美馬さんも笑った。 「誰に期末のなんで負けたの?」 あ。 「クラスの子と期末の総合点で」 「柚ちゃん、賢いのに、もっと賢い子がいるんだ」 安藤先輩が優しく笑った。 「ははは、いますねぇ」 新井君は、もっと賢い。
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