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「新井くんー。どうぞ、お納めください」
呼ばれて振り返った新井君にふざけて、カフェオレを一本渡す。
「わ、ありがと」
いつも真面目な顔している新井君が、カフェオレを手に取って、笑った。
さすがに学年、二位は嬉しいよな。
「学年、二位はずるいわ。私、八位だった」
頑張ったんだけどなぁ。
「ははは、今回、奇跡」
全然奇跡じゃない。
私は数学が段々やばくなってきているけど、新井君は理系が得意で、文系も同じくらい得意だ。オールラウンダー。
「まぁ、次は負けないように、がんばります、じゃね」
自分のカフェオレを持って、教室に帰る。
新井君、元々頭がいい上に、真面目に勉強しているんだろうな。
私もかなりやっている方だけど、限界が見える気がする。
クラスでもあんまりおしゃべりしない新井君とこんな風に打ち解けたのは、やっぱり去年、一緒にスピーチコンテストをやったからだ。
図書委員として、参加者に付き添って、練習したりすると、おしゃべりする機会も増えて、仲良くなれる。
龍之介、ちゃんと最後までやってくれるかな。
機嫌が悪かった龍之介を思い出して、ため息が出る。
あれは、マネージャーに期待されていたのに、合宿に行けなくなって落ち込んでいたのか。
普段から参加してないくせに、楽しい合宿だけ行こうとか調子がいい。
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