片想いやら

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この人を新入生歓迎会で見て、オーケストラ部に入った。 入学してすぐに行われた新入生歓迎会の発表でオーケストラ部から四重奏のグループが演奏した。そこで、安藤先輩は、大きなチェロを足に挟んで、きれいな重低音を弾いた。 二年生になったばかりだったのに、三年生のバイオリン、ビオラと一緒に堂々と弾いていた。 ものすごく、魅かれた。 大きな楽器と、それを自由に弾いている安藤先輩に。 入部したとき、私もできるなら、チェロがやりたいと思った。 ただ、オーケストラ部には持ち前の楽器が一個のみで、先輩が今弾いているのは、自前のものだ。学校貸し出しの一台は弦楽器経験があった沢田君が使っている。 小学生時代ピアノをやっていた以外、弦楽器を全くやった事のなかった私は、バイオリンでさえ憧れだったので、学校貸し出しのバイオリンで、ありがたくバイオリン班になった。 元々バイオリンをやっていた人は、自前の楽器でやっている。高校から始めた人は、初め、みんな、大体、学校の貸出を使う。徐々に辞めていく人もいれば、買う人もいる。私は、まだ買えていない。 憧れはあったけど、自分では習えなかった弦楽器を部活で弾けるから、精一杯やっている。 文化祭で、間違えず、きれいな音で自分の簡単なパートが弾けたらよし。 っていうレベルだけど。
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