チェロとプール

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先生と入れ替わりに、龍之介がフラッとジャージ姿でやってきた。 「うっす」 暑くって、少しだるそうだけど、この男のレベルで行くと来ただけ偉い。 「はーい。龍之介、あっちに行って、スピーチ読むんだけど、私が旗、振ったら読んで。時間毎にサイン出すから。これ。あと2分とか、あと十秒とか」 「時間、そんな大事?」 「うーん。学校のだから停止されたりしないけど、審査ポイント的には大事。優勝したかったら」 コンテストで優勝すると、図書カードがもらえる。 龍之介は、そんなことには興味がないかもしれないけど。 「ふーん」 「あと、この旗振ったら声が小さいって事。分かった?」 「何でこの暑い中、プール脇?」 面倒くさそうに周りを見渡す。 基本的な事、聞かれた。 そりゃ、そうだけど。 「ステージは演劇とか合唱が使ってるから」 25m測り易いし、運動部の邪魔にならないのもある。 「あっそう」
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