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足から冷えて、気持ちがいい。
「プール脇って、暑いよな。良くやるわ」
「ん。去年は、これ、3回やったね」
新井くんは、文句も言わずにちゃんとやった。
「本気で? キツ」
龍之介は3回もやらない。
一回だけでも練習に出てきたことが奇跡だ。
そういういい加減な男だから。
「ん。そだね」
適当な返事をしたら、龍之介がこっちを見た。
私は、このいい加減な男を少し困らせてやりたいと思った、自分の精神を心配している。
「どした?」
「どうもしない」
チャラチャラして、いい加減なくせに、なんで、こんな事をしているのか?
「ねぇ、どうして、今、コレなわけ?」
本気で、現国をパスしたいだけっていうわけでもないだろう。
「はあ? なに?」
龍之介は、とぼけるように、水を蹴った。
「なんで、急に、こういう小論文、書いたの? 」
知りたい。
急にどうして、こんなにさらけ出すことにしたのか。
そしたら、自分がどうして、急に龍之介に囚われているのか分かるかも知れないと思った。
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