片想いやら

8/20
前へ
/177ページ
次へ
「はい、じゃ、今日はここまでにします。これから、各自、部活以外での文化祭の準備など、忙しくなってきますけど、なるべく朝、夕の練習に参加して、合わせて行きましょう」 バラバラに譜面台を片付けたり、楽器をケースにしまいはじめる。 「安藤、もうちょい合わせる?」 ちらっと伺いみると、細川先輩と、三神先輩が四重奏の合わせをするらしい。 「新庄? やる?」 ビオラの先輩にも声をかけている。 施錠はまだちょっと先だから、ギリギリまでやるのだろう。 いつも安藤先輩は、少しだけ残って、ギリギリまで練習している。 チェロは自前だけど、平日はだいたい、学校に置いて行っているから。 私も残って、ずっと見ていたい。 だけど、そんな事をする勇気もない。 バイオリンを拭いてケースに入れると、収納棚へもどした。 貸出のバイオリンは、週末には借りていける。 平日は夜遅く、借りても家で練習出来ないし、一応、進学校で、部活時間もしっかりあるから、平日の夜は、家で部活の練習するより勉強するように、と顧問に言われている。 「お疲れ様ですー」 「お先です!」 先輩たちに邪魔にならないように、皆、それぞれ帰路につく。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1105人が本棚に入れています
本棚に追加