チェロとプール

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ここまできて、なんにもわからない女の子のふりをするつもりはない。 龍之介が言葉や、行動に乗せる私への好意に気が付かないほど馬鹿じゃない。 でも、それが本当に好意なのか、好意に見せかけた冗談や何かなのかわからない。 これまで、ずっとなにか引っかかるところがあって、信用したら駄目な気がしていた男の子だから。 馬鹿なくらい陽気なくせに、勘違いして近づいて、触りどころを間違えたら噛まれるような気がしてた。 どこか本気にできなかった。 なのに、急に傷をさらけ出してきた。 深い傷。 これが本当の好意なのか、今までの上っ面の遊びの延長なのか分からない。 Dクラの子ともデレデレおしゃべりしていたし、サッカー部のマネージャーとだって仲がいい。 そして、なにより、おかしいのは、私だ。 龍之介がほかの子と仲良くしてたら、何だっていうんだろう。 今日、私がプールに落ちたら、龍之介は私を助けに来るだろうかと一瞬でも変な想像をした事自体が、ものすごく怖い。 なに、あの、嫉妬、みたいなの。 独占欲だろうか。 龍之介をどうしたいのか。 安藤先輩が好きなのに。 安藤先輩に恋しているはずなのに、龍之介もそばに置いておきたいとでも思っているんだろうか。 自分がこんなに常識外れだと思わなかった。
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