チェロとプール

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***  翌日、文化祭直前という事で、日曜日に珍しく、部活があった。 音楽室へ入って、挨拶をすると、先に来ている安藤先輩をちらっと見た。 譜面台を調整して、調弦にかかっている。 やっぱり素敵だ。 そこはブレてない。 大丈夫。 通し練習をして、昼休みをはさんで、体育館へ移動した。 今日の午後は、オーケストラ部が体育館を確保している。 移動中、渡り廊下を渡りながら、校庭を眺めると、運動部がそれぞれ通常の練習をしたり文化祭準備をしている。 昨日、龍之介は、パネルの色塗りの途中だと言っていた。 今日も来ているのかもしれない。 体育館では、椅子と譜面台を並べるところから始める。 顧問の先生と安藤先輩が指示をだして、椅子の位置を決めていった。 しっかりしている。 やっぱり安藤先輩は素敵だ。 「柚ちゃん、みーたん、もうちょっと、左にずれて」 そんなことでも、名前を呼ばれたら、ドキッとする。 する。 絶対する。 好きだもん。 通し練習では、入場から、すべての曲のリハ―サルを行って、私はとにかく失敗せずに、きれいな音で最後まで弾く、それに集中した。 本番は、文化祭一日目、土曜日の午後だ。 それで、三年生の部活は終わる。 あと、一週間もない。 通し練習を二回やって、解散になった。
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