チェロとプール

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***  「おい、柚。英文、予習してきたとこ、見せて。今日、こっち側、当たるだろ?」 「ええー。自分でやってきてよ」 龍之介は、教室で相変わらずだ。 あれから、プールサイドで話を聞いた時のような雰囲気になることもない。 「お願いします、柚さま!」 「しょうがないなぁ。どこ当たるかなんか、わかんないよ」 龍之介に開いたノートを渡して、私は、次の授業まで、甘夏ちゃんとおしゃべりする。 どうしようもない奴。 それでいい。 それでないと、困る。
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