前夜祭

3/21
前へ
/177ページ
次へ
「うーん、今は大丈夫かなぁ。ありがと」 まだ10時まで時間がある。 一旦音楽室へ行こうと、体育館を出て渡り廊下を戻っていくと、体育館の脇で、龍之介が一年生の女の子と二人きりで喋っているのがちらっと見えた。 きゅっと胃が痛くなる。 部室ブロックが近いから、部室から呼び出されたって感じだろうか。 人目につきにくい所に二人。 女の子が龍之介を見上げて、何か言っていた。 ぱっと見に分かる、特殊な緊張感。 他人事のはずなのに、心臓が跳ねた。 喉の奥が閉まる。 文化祭だもんな。 告白とか、多い。 なんか変なものを見てしまった気がして、立ち止まらないように、そのまま音楽室へ向かった。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1105人が本棚に入れています
本棚に追加