僕の結婚

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僕の結婚

僕は結婚した。復讐するために。 僕は彼女を許せなかった。どうしても。僕以外の男に目を向けるなんて、あってはならない。彼女の時間を、彼女の心を僕以外に注ぐなんて、絶対に許さない。彼女の瞳も、彼女の時間も、彼女の心も全部僕のもの。彼女を「意味」するもの全ては僕のものなんだ。僕のものじゃなきゃならないんだ。 なのに、彼女は僕以外のモノを見るようになった。僕以外に心惹かれ、僕じゃないモノを見つめ、僕じゃない誰かを愛し、僕じゃないそいつのために生き始めた。そんなのは駄目だ。絶対に駄目だ。だって君は言ったじゃないか。僕が好きだって。僕を愛しているって。僕が君の全てで、僕の罪も全部一緒に背負ってくれるって。それでもいいって。それがいいって言ったのに。君は確かに僕を見つめて、曇りのないその瞳をキラキラ輝かせながら言ったじゃないか。なのに、なんで?あれは嘘だったの?ねぇ、嘘だったの? あの時、僕は本当に嬉しかったんだ。君の言葉が。こんな僕を見つけてくれたことが。とても全てを話せないようなことをしてきた僕を好きだと言ってくれたことが、愛していると言ってくれたこが、本当に、本当に嬉しかったんだ。嬉しかったのに、悲しいよ。僕は……。
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