痛み

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痛み

「……成る程。ラルは、黒印を祓いながら旅をしていて、偶然私と出会った。それで黒印の事を知って、私を幻魔機関の有る国まで送ってくれている最中」 「そういう事だ」  ラルは手綱を操って、馬の進路を少し修正した。  今二人は、のどかな草原の真ん中を馬に揺られて進行している。  リンネはラルの胴に手を回す格好で後ろにちょこんと跨がっており、馬上が揺れる度、掴まる力を強めた。  滞在していた街で馬を手に入れたのは、足を速める必要が有るとラルが感じたからだ。  リンネの黒印の発動時期が分かった以上、無駄に日数を潰してはいられなかった。  それでも計算上は、あと数回は黒印の能力を発動させてしまう事になっている。 「──ラルって、私の想像以上に損な性格してる」 「よく言われるよ」 「……何か、お礼がしたい」  何処か熱っぽいリンネの額が、ラルの背中に重さを加える。 「大丈夫。以前、お前から貰っている。お陰様で大儲けだ」  と、ラルが少し話を盛って笑って話す。 「それは嘘。貰ったのは本当だけど、大して儲けてはいない」  え。  何で分かるんだ、コイツ。  感性鋭いにも程があるだろ。 「ラルは分かり易い」  嘘だろ。  心まで読めるのか。  ラルが恐怖する中、リンネが「ねぇ、アレ」と、肩を揺すってきた。  落としていた視線を持ち上げると、緑色の境界線の中央に街が広がっていた。  この調子なら、今日は野宿は回避出来そうだ。
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