君と出会うという事

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「──っ!」  弾かれた様にラルは飛び起きた。  嫌な汗が、全身に纏わり付いている。  少しだけ痛んだ右手の義手の繋ぎ目を左手で押さえ、ラルは深呼吸した。  時折見る、過去の悪夢。 「はは、目覚め最悪かよ……」  顔でも洗おうかと身体を起こすと、僅か数十メートル前方の茂みが、木を数本巻き込んで火柱となっていた。 「え……?」  唖然とするラル。  視線を少し落とすと、自分が作った焚き火の炎がまだ生きている事に気が付く。  この焚き火の炎が風で流され、偶発的着火。  サッと背筋が寒くなる。 「おおお、俺!? 俺の仕業なのか!?」  ラルは頭を抱え、火柱の前で右往左往する。 「ま、マズイ! このままだと山火事! 水っ! 水を汲……あぁ!? コップしか無いんだった!」  等と盛大に狼狽を繰り返している間に、不自然にも炎の勢いは弱まっていき、やがて糸が切れたかの様に火は消えた。  残されたのは、大量の炭と灰の山である。  理解よりも安堵へと寄り掛かるラルの心境だったが、灰の山の中で動く物体を視界に捉えるとその表情は一変する。  後方へと跳躍、右拳を力強く握って身構え、いつでも動けるよう警戒する。
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