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悲壮感だらけの現実が次々と押し寄せてきたが、呼吸を整える時間だけは創ってくれたみたいだ。
俺は樹木に凭れるのを止め、歩き始める。
俺以外の足音が身近に感じた。
一人じゃない。
何人もいる。
休んでいる間に追いつかれたのか。
いつの間にか、俺の目の前には三人の男達が、迫って来ていた。
俺は走り出す。
後頭部に激しい衝撃を叩きつけられた。
気が遠くなるような激痛に襲われ、激しくふら付き、両脚の動きがちぐはぐになり、正面から倒れ込む。
四つん這いになり、左手で後頭部を抑える。
冷たい……。
左手を恐る恐る見てみたら、真っ赤に染まっていた。
上体を起こし、振り向く。
でかい男に顔面を力任せに蹴られる。
吹き飛び、倒れ込む。
でかい醜い男が、呻き声を上げながら、大きな包丁を持ってのしかかる。
「やっ、やめろ!」
叫び声を上げるも、包丁の刃を喉に押し当てられ、男は包丁に手を当てて、体重を乗せてきた。
包丁が一気に喉に喰い込んできて、バキバキと何か硬い物が砕かれていくかのような破滅的な音が響いた時、鮮血が爆発したかのように弾け飛び、この世界を認識する全ての感覚が消えうせた……。
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