113人が本棚に入れています
本棚に追加
真ん中の男がいきなり鉈を振り落としてくる。身体を右側にスライドさせてよけ、後ろに回り込み、ケツを蹴り転ばせる。
右側の男が農用フォークを水平に振り回してくる。後ろに下がってかわす。
もう一人の男はスコップを真上から振り落としてきた。
これも下がってかわす。
突いた方が有利な武器を、力任せに振り回してくる。
ど素人だな。
鉈を持った男が起き上がり、鉈を斜め上から振ってくる。
左側に動き、身体を右側に捻ると同時に手斧を持った右腕を水平に振る。
男の右腕を捕らえた。右腕から鮮血が飛び散る。男は呻き声を上げ、左手で右腕を抑えてケツから倒れ込む。
別の男がスコップを構えて真っ直ぐにして突いてきた。
手斧を下に回すように動かして、スコップを右側に弾き、踏み込むと同時に左のペティナイフを腹に突き刺し、素早く抜き、蹴り飛ばす。
飛び散った鮮血が俺の顔に吹きかかる。
「せっかくのイケメンが台無しだぜ!」
俺はニヤリと嫌らしい笑みを浮かべる。
残った男が農用フォークを左、右と力任せに、横に振り回して襲い掛かってくる。
二歩、三歩と下がってかわす。
今度は農用フォークを真っ直ぐに持って構え、突進をしてきた。
俺は身体を右斜め下に捻るように転がして、農用フォークの突きをかわし、身体を回転させた勢いを利用して素早く立ち上がる。
男は前によろめいたが、何とか倒れずに振り返る。
「反応が遅いんだよ!ゲスが!」
俺は男の顔面を目掛けて、手斧を振り落とす。
脚の動きが急に止まり、身体が前のめりになってしまう。
農用フォークの男は尻もちをつき倒れ込む。
鉈を持っていた男が、呻き声を上げながら、俺の右足首の辺りを掴んでいた。
「このくたばり損ないが!」
下を向き、手斧を下に回すように男の右腕に振り落とす。
男の腕の皮膚がパックリと割れ、鮮血が溢れ出し、男の悲鳴が響く中、男の右手が俺から離れる。
上体を起こした時、腹部に衝撃を受け、俺の周辺の時間が止まったような感覚になる。
俺の腹に農用フォークが突き刺さっていた。
農用フォークが抜かれ、鮮血が噴き出すと同時に、俺は全身から力が抜けたような感じになり、バッタリと正面から倒れ込む。
僅か数秒間が、ゆっくりと流れていくのを感じながら、俺の意識はこの世の遥か彼方へと飛んで行った……。
最初のコメントを投稿しよう!