烏見 京矢

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 周りがやたらと騒がしい。鼻の奥に血の香りが強烈な刺激を与える。腹部から全身に硬い激痛が駆け巡る。  身体が動かない。  俺は意識が戻った。  何か板のような物の上に全裸にされて寝かされ、両手首と両足首がロープのような物で縛られている。  腹部からの痛みを堪え、少し首を上げて、周りを見渡してみる。  広場はお祭り騒ぎのようになっていた。  普通の祭りじゃない。こいつらは、人間を解体して、盛り上がっているのだ。  広場の中央には杭のような物に突き刺さった、生首が三つ建てられていた。  蛭貝、霧灯、霞谷の三人の首だ。  戦いの勝利を記念でもするかのように堂々している。  他の場所では、何かを料理でもするのか、大きな鍋のような物が幾つか見られる。  その周辺で奴らは、大きな包丁を使って、鮮血を飛び散らせながら、肉や内臓を切り刻んでいる。  切り刻まれた肉片や内臓は次々と無造作に鍋の中に放り込まれていく。  切断された腕と脚もあったが、誰の物か分かりやしない。  骨から肉を剝がしていく時の何かが少しずつ裂けていくような、生々しいメリメリとした音が、絶えることなく耳から脳内に入り込んでくる。  俺がやっていたのは殺人までだ。死体を飾ったり解体したりはしていない。ましてや、人間を食おうなんて思った事もない。  流石、狂人どもはやる事がちがうな。  不気味なガキが俺の所に来て、にやけながら、指で見る方向を指示してくる。  そこには、両腕と両脚が切断され、鮮血で深紅に染まった墨絵の姿があった。血でねっとりと固まったような感じの乱れた黒い髪が、惨めさと虚しさを演出する。  両腕と両脚はもう鍋の中か。  全裸にされている。  狂人どもにレイプされてから殺されたか。  哀れだな……。  俺はどうやって、殺されるのだろうか……。  そんな思いが浮かんできた刹那、奴らは墨絵の股間に長い杭を突き刺し、グリグリと捻りながら、体内の奥深くへと突っ込んでいく行為を始めた。  墨絵の股間から血が溢れ出し、身体がビクン、ビクンと震えるように揺れだす。  息絶えている筈だが……。  杭を捻りながら強引に突っ込んでいる振動によるものか。  墨絵の頭が仰け反る。  口が大きく開いた瞬間、杭の鋭い先端が、一気に飛び出した。  杭の先端のこびり付いた肉片が、ポトリと地面に落ちる。  奴らは歓声を上げて、串刺しにした墨絵を抱え上げ、地面に突き刺し、周りに木の枝のような物を囲むように置いていく。  火炙りにでもするのか……。  違うな。  焼いて食うのか。  化物どもが……。  化物どもが俺の方に近づいてきた。  いよいよか……。
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