襲撃

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襲撃

 俺達は集落に向かって歩き始める。 「いきなり正面から全員で行くの?少しは調べたりとかしないの?」  墨絵が話しかけてきた。 「それもそうだな。全員で集落に入り込んでは目立ちすぎるな」  蛭貝が墨絵の案に応える。 「俺が行ってくる。目星をつけたら戻ってくる。それでいいか」  面倒な奴らだ。ここでまた話し合いになったら、時間だけが無駄に流れてしまう。ここは、俺が調査に行くことで、納得をしてもらった方が話は速いだろう。 「行ってくれるのか。助かるな」  蛭貝が即座に反応をする。 「車を強奪して、先に一人で逃げる事態になっても文句は言うなよ」  嫌らしい笑みを浮かべながら答える。皆の顔色が一気に変わる。 「冗談だ」  俺はにやけながら答え、集落に向かって歩き始める。 「あいつは何をやっているんだ」  蛭貝が声を荒げる。  霧灯が勝手に集落へと向かっていたのだ。  俺が集落を調べる前に目立つ行動は困る。霧灯に向かって行こうとした時、霧灯の目の前に幼女がいる事に気が付いた。  着ている服は汚れていてボロボロ。無表情で歪んだ顔つきに、可愛いと感じる要素は何一つない。  霧灯はニヤニヤと笑いながら、幼女に話しかけようとしている。  幼女ならお構いなしか。もはや病気だな。救いようがない。  色々とくだらない事を呟き、走り出したら、霧灯の叫び声が響いた。  霧灯は言葉にならない叫び声を上げながら、両膝を地につけ蹲る。  思わず脚の動きが止まる。  幼女はペティナイフを握りしめ、笑っていた。  幼女は弾け飛ぶ鮮血を物ともせず、蹲った霧灯に容赦なく何度もペティナイフを突き刺す。  うつ伏せに倒れ込む霧灯。幼女のペティナイフは、霧灯の背中に何度も襲い掛かり、辺り一面は、飛び散った鮮血で染め上げられていく。  俺は幼女に向かって行き、容赦なく蹴りを顔面に叩き込む。  幼女は吹き飛び、倒れ込む。  霧灯の身体はピクピクと病的に震え、傷口から、その震えに合わせるかのように鮮血が吹き上げている状態になっていた。  幼女が持っていた血まみれのペティナイフが視界に入る。  素早く拾う。  建物から数人の人間達が出てきた。  着ている服は汚れきっていてボロボロ。定まらない異様な目付き。醜い容貌。  薄気味悪い表情を浮かべて、しっかりと地を踏みしめるような感じで歩いてくる。 「逃げるぞ。霧灯は助からない」  俺は一旦、逃げる事を選択する。  まともじゃない……。  
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