決断

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決断

「二人を見殺しにしてしまったな。後味が悪い」  蛭貝が息を切らせながら、話しかけてきた。 「助けていたら、こっちがやられていた。仕方ないだろう」  息を切らせながら答える。 「貴方なら、助けられたんじゃないの」  墨絵が嫌らしい笑みを浮かべる。 「無理だな。奴らの目をみたか。まともじゃない」 「確かに奴らはまともじゃない。俺達を捕らえて殺すこと以外に、全く興味を示さなかったような感じだった」  蛭貝が俺に話に補填をする。 「奴らがまともじゃないのは分かったけど、これからどうするの?」  墨絵が至極真っ当な事を訪ねてきた。これからどうしたら良いのか。今の俺達が真っ先に取り掛からなければならない問題なのだから。 「奴らの事を調べるのか。それとも、ここから逃げるか。この二択しかないと思うが」 「逃げるしかないと思うけど、どうして私達はこうなってしまったのかしら」  蛭貝が投げた質問に答えながらも、墨絵は新たな質問を放り投げてきた。 「知るかよ。気がついたら、森の中にいた。辺りを調べていたら、集落が見つかったが、そこに住んでいる連中はまともじゃなかった。そんなところだが」  素っ気なく答える。 「間違いじゃないわね。けど、何故こうなってしまったかの回答になっていないわ」 「そんな事、いくら考えても、回答に辿り着ける気がしないけどな」  墨絵のくだらない突っ込みに、蛭貝が上手く回答をしてくれた。 「とにかく逃げるしかないだろう。あんな奴らと関わったら、命が幾つあっても足りないぞ」 「もう少し休みたいわ」  墨絵が意味ありげな表情を浮かべる。 「勝手にしろ。俺は一人で逃げる」  休んでいる暇はない。狂ったハンターどもが、迫ってきているかもしれないのだ。 「身勝手過ぎじゃない。最も、仲間二人を平気で見捨てたくらいだからね」 「身勝手な事を言っているのはお前だろう。俺達は最初から仲間じゃない」  俺は冷たく言い放つ。  こいつらと一緒にいても、足手纏いになるだけだ。  それに、三人で一緒にいるより、バラバラになった方が、追跡をしてくる連中も分散するので少なくなる。 「お前は武器を持っているからな。俺達はどうなる」  蛭貝は俺が持っているペティナイフを見て、ふてくされた感じで話しかけてきた。 「その辺に落ちている木の棒だって武器になるだろう。とにかく、これから先はお前たちとは一緒に行動はしない。それだけだ!」  俺は語意を強め、勝手に歩き出した。  こいつらが、これから先、俺の役に立つとは思えない。切り捨てる丁度いいタイミングだ。  俺は一人、森の奥を目指す。狂人どもを相手にする気はない。
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