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「シスターがね、物を優しく扱う人は優しい人だって言ってたの!お姉さんはわたしたちのお洋服に優しいから優しいの!」
「えっと……」
「ふふ、そうね。よく覚えてたわね。偉いわ、ニコ」
するとマギーが来て、少女を抱き上げる。
「あなた、アーテルの人だったのね。ごめんなさい、無神経だったかしら」
「……アーテルって?」
「えっ。知らないの?あなたみたいな黒髪黒目を持つ人のことを指すの。珍しいから差別する人や嫌う人も多いのよね。実際、アーテルの人は優秀な魔導師が多いし」
「……そう。別に、平気です」
「辛い目にあったと思いけれど、イーリス様はお優しい方でしょ?きっとあの方のおそばに入れば傷つくことなんて無くなるわ。なんてったってラウルス様に愛されし大賢者様だもの」
マギーがそう言うとニコも腕を上げて言う。
「イーリス様はすごい人なんだよ!優しくて強くてかっこいい!」
「そんなに褒められると照れるなぁ」
「あ、イーリス様!」
ご満悦のイーリスが立っていた。先程よりもニコニコしていて嬉しそうだ。彼はマギーからニコを受け取ると頭をポンポンと撫でた。
「昼食にしよう、だって。動いて疲れただろう」
「そうですね。ノラ、私達も行きましょ!」
マギーが私の手を取ろうとする。私はその手を取らず、自分で歩き出した。
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