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昼食は素朴なスープだった。洋風な食べ物は元いた世界と味は変わらない。
(まぁ、ろくに食べたことはないんだけど)
お腹を満たした子供たちはこっくりこっくりとしだす。眠くなったのだろう。シスターらは子供を抱き上げ、部屋に連れていった。イーリスも私を浮かせたあの魔法で子供たちを一気に連れていく。
私は「片付けをする」と一人食堂に残った。皿も全て洗い終わり、暇になる。机に突っ伏して目をつむった。
(アーテル。こんな所でも私は人に嫌われる存在みたい。結局、私はみにくいままなんだ)
それでも、イーリスのように魔法が使えれば人の役に立てるだろうか。無能な「いらない子」ではなくなるだろうか。
しかし、こんな私が魔法を使えるわけが無い。特別な人間になれるはずがない。
(分からない。もう、何もしたくない。生きていたくなんて、なかったのに……)
人に嫌われるのも、それで傷つく弱い自分も、もうこりごりだ。
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