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「人を助けるのに理由はいらない、よく言うだろう。君を助けたのは自分のためさ」
「でもそんなの……」
「偽善だと思うかな?」
青年は少しだけ寂しそうな顔をしていた。何故彼がそんな顔をするのか分からない。
だって、普通に考えてそうだろう。利益なしに人を助ける人なんて誰もいない。だって私は助けられたことなんて一度もなかった。私に近づく人は皆家目的で、私が何の力も無いことを知ると離れていくのだ。
「じゃあこうしよう。君を助けた代わりに僕は見返りを求めるよ」
ゴクリと唾を飲む。
「僕の仕事を手伝って欲しいんだ」
「何の、ですか」
青年は柔らかな笑みを作る。
「人助けの仕事さ」
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