1〈アヒルの子は拾われる〉

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「人を助けるのに理由はいらない、よく言うだろう。君を助けたのは自分のためさ」 「でもそんなの……」 「偽善だと思うかな?」  青年は少しだけ寂しそうな顔をしていた。何故彼がそんな顔をするのか分からない。  だって、普通に考えてそうだろう。利益なしに人を助ける人なんて誰もいない。だって私は助けられたことなんて一度もなかった。私に近づく人は皆家目的で、私が何の力も無いことを知ると離れていくのだ。 「じゃあこうしよう。君を助けた代わりに僕は見返りを求めるよ」  ゴクリと唾を飲む。 「僕の仕事を手伝って欲しいんだ」 「何の、ですか」  青年は柔らかな笑みを作る。 「人助けの仕事さ」
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